M&Aのご依頼の流れ
金融M&Aコンサルタンツに金融関係事業の買収や売却をご依頼いただく際は、一般的には以下のように流れをとる場合が多くなっております。もちろん、以下のような流れではないといけないというわけではありません。当社は、依頼者様の事情に応じて進め方を柔軟に相談させて頂きますので、まずはお気軽にご相談ください。
なお、当社のM&Aアドバイザー契約は、基本的には専属ではありません。
依頼者様は同時並行して他のM&Aエージェントに依頼いただいても問題ありません。選択肢のひとつとして、アドバイスだけでも歓迎ですので、分からないことがある際には是非ともお声掛けください。
1.売却、買収に関するご相談

当社は、買収を希望している/売却を希望している金融業者様の概要をお伺いして、まずは現在のM&A市場においてどのくらいの価格で成立しているのか、最近の取引事例はどういった水準かといった一般的な情報をアドバイスさせて頂きます。
とくに、金融商品取引業は、同じ種別のライセンスであっても、現在の業務内容、業態により売買価格の相場が全く異なってきます。
「二種は二種、一種は一種で、種別が同じなら、できることも価格も同じではないのか」という質問を、とくに他業種から参入を検討している事業者様から受けることが多いで。しかし、実際の業務内容によって売買相場は全く違いますし、新規の登録の難しさも全く異なります。
第一種金融商品取引業でも比較的簡単に登録できる業態もあれば、第二種金融商品取引業であっても、一般的な投資運用業や機関投資家向けの第一種金融商品取引業よりもずっと登録が難しい「ソーシャルレンディング」のような業態もあります。
こうした実務的な肌感覚、「相場の風読み」は、実際に金融商品取引業のコンサルティングを継続的に行っているコンサルタントからでないと、質問してもなかなか満足いく回答は得られないでしょう。
2.M&Aアドバイザー契約の締結
当社のM&Aアドバイザー契約は、専属ではありませんので、上記の通り、並行して他のM&A会社に依頼することも可能です。また、契約の際には、依頼者様が納得いくまで、こちらのできることやM&Aの見通しを誠実に説明したうえで、ご納得いただける場合のみ契約を締結頂いております。
M&A業界でありがちな強引な進め方、悪い意味での海千山千な仕事はしません。あくまで依頼者様との信頼関係ベースで業務を進めていきます。金融M&Aコンサルタンツが頂く報酬は、案件の難易度に応じて、売買代金の5%〜となります。
3.候補先のご紹介
当社は、金融商品取引業を専門とするM&A会社、税理士、弁護士、行政書士等の複数のプロフェッショナルと、常時案件に関する情報交換をしております。そのため、秘密保持が厳しく当事者以外に出てこない案件を除き、M&Aに関する半公開情報が流れれば、それをすぐ把握できる情報力があります。
これに加えて当社グループでは、コンサルタントとして、多数の金融商品取引業者その他金融関係事業者を直接のクライアントとして業務を行っております。
そのため、M&Aの仲介だけをやっている事業者と比べ、生の情報、一次情報を入手できる機会が多く、「出回っていない」情報の面でも、業界内で特異といっていいレベルにあると自負しております。
4.意向書・NDAの差し入れ
買収/売却の候補先としてご紹介した相手方との間で譲渡交渉を行うことに同意いただける場合には、買付側から意向書及び秘密保持契約書(NDA)を差し入れるのが一般的です。その際、NDAは契約型(双方が調印する契約)の場合と、差し入れ型(買い側のみが押印する形式)の場合がありますが、案件毎に調整して形式を決定します。
また、売主側の意向によっては、買主側の資金証明(銀行預金残高証明書)が必要になります。一般に、上場企業や決算書を開示している中堅~大企業はこうした資金証明は省略になることが多い一方で、実態不明の個人、調べても情報が出てこないペーパーカンパニー等が買い付け者になる場合には、資金証明を用意しないといけないケースが多くなります。
基本的に、証券業界は、規模の大小はあれど、村社会になっています。そのため、他セクターから有名でない企業が、業界のOBのスタッフも入れずに買収で参入しようとした場合、困難に直面する場合もあります。
売主側が保守的な会社だと、資金があっても「どこだそこ」「買っても事業できないでしょ」と、交渉を断られてしまうことすらあります。当社はこうした状況が生じる前に、買収計画自体をプロの眼から見も納得できるレベルまで引き上げるコンサルティングをすることもできます。
5.DD・条件交渉
デューデリジェンス(以下「DD」という。)は、M&Aを専門とする会計事務所・法律事務所を使って行うことが一般的です。しかしながら、概ね1億円以下のM&Aでは、DDを省略することも多くなっています。とくに買収側が非上場企業であり、かつ外部株主のいないオーナー企業の場合には、DDをしないケースの方が多いと思います。
いわゆる四大法律事務所、会計事務所のBig4にDDを依頼すれば、小規模業者でも1000万を超える予算感を覚悟する必要があります。買収総額数千万円のスケールの取引ではペイしないコストです。
かといって、買収にあたって何も見ないわけにもいきません。
一般に、小規模業者の買収では、開示された範囲の情報で、比較的低価格の簡易DDを実施してその枠内で適否を検討する方が現実的だと思います。
金融商品取引業者は業態ごとにリスク特性があって、その要点を踏まえていれば、多額の費用と時間をかけずとも、問題がありそうな場合のDDでの早期発見は可能になります。
例えば、第一種金融商品取引業では純資産と自己資本規制比率の観点から流動資産に粉飾がされやすいので、預貯金や有価証券の実在性、資産性を徹底的に見ます。また、投資助言・代理業の株式を中心とするリテール業態では投資家とのトラブルが生じやすいので、苦情台帳等や口座の取引を確認して、顧客に対して負担する簿外債務や係争中の事案がないかの確認が重要です。
こうしたDDを通じて把握された問題意識を反映して、M&Aのクローズに向けて売買価格の希望を上下に修正し、最終契約の調印に向けて交渉を継続していくことになります。
6.クローズ

売買価格、決済日、人員の引継ぎなどの諸問題の調整が完了すれば、いよいよ株式譲渡契約の調印となります。一般に、株式譲渡契約の調印日は、決済日とは別に設定することが多いです。
一般に、決済日において、代表印の受け渡し、株式の譲渡承認に関する書面の授受(譲渡制限会社の場合)、銀行預金通帳・銀行印の引き渡しを同時に行うことが多く、また、株主が移動することに伴い、必要に応じて、対象議決権保有届出書や親法人等子法人等の届出書を財務局に提出します。
また、M&Aの成立と同時に取締役等の役員に買収側の関係者を就任させたり、また商号を変更したりする場合も多くなっています。
当社は、金融商品取引業のM&Aに特化したコンサルタントとして、一連の手続きを、弁護士、行政書士らと連携してサポートしていきます。